“The Open Championship”
世界最古の歴史と伝統を誇る“ジ・オープン”。一日の中に四季があり、あるがままの大自然の状態を残したリンクスコース(スコットランド・イングランド)で毎年7月中旬にR&A(ゴルフの聖地・総本山)の主催で開催される4大メジャーの1つ。
第1回大会は1860年(プレスト・ウィックでウィリーバークが優勝)。唯一の例外として1951年に北アイルランド(ロイヤル・ポートラッシュ)で開催されたが、最近はセント・アンドリューズを含む9コースのローテーションで開催されています。
私は全英オープンに行く時は、いつ飛行機事故で亡くなるか分からないので、いつも遺書を残し、大学ノート1冊をもって出かけることにしてきた。空港に着いた時からコースでの取材状況、宿の予約など、余り他人に知られたくない苦労話をメモにしている。
今回、それらの日記が出てきたので「全英オープン日記」として披露することにした。第1回は、“139th The Open 2010 (St Andrews)”の大会からである。セント・アンドリューズを歩いているうちに、ゴルフのインターネットマガジンを思いたった。それが高松の中島千秋さんと一緒に始めた購読会員制の「Golf TC」である。
2010年日記が終ると、最初の全英取材である1988年(ロイヤル・リザム)に戻って全英オープンの偉大さ・感動や失敗談などを連載する。どうぞ笑ってください。
Vol.16
“119th The Open 1990 (St Andrews)”②
第119回全英オープン(1990年セント・アンドリューズ)
ミズノのクラブを使ってニック・ファルドがV!
7月21日 (土曜日) 曇り
10番スタンドにて
今朝は風が吹かないと思ったら、11時半頃、この10番左サイドのスタンドに座っていると、右からの海風(東)が吹いてきた。昨日(20日)とは全く逆の風。空は曇り、白い雨雲。風は昨日より冷たい。しかし私は2日目に入り、疲れは残っているものの、いくらか楽になった。今日(土曜・3R)は余裕を持って取材している。先ほど、ブリヂストンスポーツ社長の山中幸博さんたちと会った。
昨夜、24時30分(日本時間金曜日朝8時30分)に福岡のKBCラジオにコメント。疲れていた。何しろ3ラウンドだ。オールドコース(Old Course)は6,933yd。それを3ラウンドだから約20km近く歩いたことになる。昨夜といっても22時頃、ちょっとベッドで横になると、そのまま眠っていた。小1時間の仮眠。ところが頭がボーツとしている。ちょっと水を呑み、洗顔。思考力がいくらか回復。これで、KBCラジオの永田時彦アナウンサーにコメントが出せそうだと思った。今日(21日)は何とかしよう。
プレスルームで時差と疲れで、土井新吉さん(日刊スポーツ)が、机に顔を伏せて仮眠していた。電話送稿は日本時間に合わせるため、8時間の時差。日刊紙は朝刊と夕刊へ2回送稿している。1人で5人の日本人選手、トップの選手たちのコメント取材をこなすことは大変だ。しかし予選ラウンドが終わり、ホッとした所もある。ジャンボは+3で、青木は2日目78をたたき+7で、倉本は+5で、羽川は+5で予選落ちした。直道は−2で残る。これで取材対象ガ絞られてきた。今夜は前半戦と3日までのことを書いて送稿しよう。
初日トップはノーマンの66。2日も66。しかし3日目、ミズノのクラブを使って戦うニック・ファルドが67を出してトップに躍り出た。
青木もジャンボも「海外は終わり、全英はお終い。海外はアメリカだけ」と言ったが、明らかに疲労と年令の壁を感じさせた。トム・ワトソンは+1でセベも+1で予選落ちした。風の運、不運が彼らのスコアとなった。カットラインは−1のジャック・ニクラウスまで。まさしく風との闘いというより、「不運との闘い」とでも言えようか。
7月22日(日曜日)
プレステントより、前半の原稿を書き上げ、朝のうちに、FAXで送稿する。前夜は疲れて、思考力ゼロ。疲れたまま、陳 清波プロに電話する。
7月23日(月曜日)
最終原稿を送り、空港へ
今朝、残りの原稿を、B&Bから、電話(コレクトコール)で送る。朝食をとる。外国人2人。1人はインドネシアで会社経営。1人はアメリカからの男性。2人と一緒に朝食。多分に、夜中のラジオコメントで、迷惑をかけたことだろう。謝ろうと思ったが、英語でどう表現していいか分からず、そのままにした。
午後、タクシーに代わって、女主人が空港に送ってくれた。小さな車。空港で、タクシー代£20を払い、お礼を言う。「次の年も、予約します」と言って別れる。
ロンドン行きの手続きに、なんと3時間もかかる。エディンバラ(Edinburgh)空港で4時間を過ごした。
ま、これくらいは覚悟して、楽しむことにした。帰りも1人である。

静けさの中のR&A Clubhouse
【次回からは 「全英オープン日記」Vol.17“120th The Open 1991 (Royal Birkdale)”①(ロイヤル・バークデール)(優勝:イアン・ベーカー・フィンチ)をお届けいたします】