しっかりと、あした。浪人養生訓。

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しっかりと、あした。浪人養生訓。

浪人生活が長かった私は映画「忠臣蔵」を見るのが一番辛かった。
殿と城を失い浪人の身となった藩士やその家族は路頭に迷った。時代は平成になっても同じ。借金あり、定年で退職すると先がない、と性質は変わってくるが、しかし私の体験、取材してきた話を振り返ってみると、この浪人の時に何をしたかで、また明日が拓けてくる、のを体験した。

結論から言えば「独りになるな」、「精神が若さの秘訣」、「生涯現役たれ」、ということである。
これから連載する『浪人養生訓』は処世訓と違って、浪人時代に力をつける養生訓である。
あなたの明日のために、何かのヒントになれば幸甚である。

筆者

しっかりと、あした。早瀬利之

Vol.05
不屈不撓

浪人時代とは、次なる機会への準備期間である。単なる充電ではなく、あらゆる情報を得てノートに書き込む。特に伝記類、哲学・思想ものを片っぱしから読み、テーマ、主人公ごとに分類しておく。

なかでも、感動する言葉があったら、メモしてノートに書き残し、◎の二重マルをつけておく。忘れてならないのは、日付だ。一冊の本を書き残す意気込みが大切。

ここに名言の一例を記す。

作者は1876年生れの「心身統一法」を広めた「天風会」創設者、中村天風である。

「新しき計画の成就は、只不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに、只想え。気高く、強く、一筋に」

「ひたむきに、只想え」というストレートな表現は、学窓の哲学者では思いつかない。体験哲学でなければ言葉となるまい。

中村天風は本名を中村三郎といい、大蔵省の初代抄紙局の父中村祐興の三男として東京北区の王子で生れた。元は旧柳川藩。福岡の修猷館中学時代に熊本の中学生と喧嘩のすえ刺殺して退学。のち玄洋社の頭山満の知遇を得て、陸軍の特殊工作員として満州とシベリアに渡る。工作員として潜行していた明治37年(1904年)3月21日、コサック兵に捕われ銃殺刑に処されるところを間一髪部下に救出される。

30歳のとき結核を患い、回復後渡米。世界中を歩き、考え、カイロにてインドのヨーガの聖人カリアッパ師と邂逅して弟子入り、ヒマラヤで2年半修行している。

戦後は「真人生の探究」「研心抄」「心に成功の炎を」「真理のひびき」(講談社刊)などを出版。宇野千代、大仏次郎ら作家の他、双葉山、軍人の山本英輔、大迫尚道、起業家では京セラの稲盛和夫らが師事している。

「笑顔は万言に勝るインターナショナルサインである」という言葉を残している。

「名言」はまさしく光である。


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